桂ちきん インタビュー ~なぜ落語家になったか?~

始めから落語を目指してたのですか?

「始めは落語は考えてなかって、どっちかと言うと漫才でした。特に好きやったんが人生幸朗のぼやき漫才と言うて歌に、いちゃもんをつけるんです。」

 

「戦後の歌で『リンゴの唄』。あか~い あか~い り~んごに くちび~る~ よ~せ~て~ りんご~は な~にも いわないけれど~
あたりまえや!八百屋のりんごがもの言ったら、やかましくて寝てられるか!』

 

「歌が代表的やけど新聞もあって、最近、新聞が赤字で値上げせなあかんようになってもうたけど、私、新聞何十年と読んでるけど、赤字の新聞見たことない!」

 

「そういうのをやってた人です。けど僕が漫才しようと思たら、それだけ厳しいツッコミの女の人が居ないんです。」

 

「女の人でそこまでのツッコミ出来る人は最近おらへん。」

 

「だから、漫才はもうあかんと決めたんです。」

 

そこから落語を?

「ほな次はなんや?となったときに、ひとりで出来る漫談や!となったんです。」

 

「松本兄さんみたいな正統派漫談やりたくて、やっぱり弟子になって基礎や礼儀作法を学ばなあかん!と思たんです。」

 

「そこで吉本に電話を掛けて『すみません。漫談家居られますか?』と訊いたんです。そしたら『なんですか漫談て?』相手は若い女の人で知らないようで、年配の人が出てきました。『漫談したいんですけど。吉本で漫談家いますか?』と聞いたら、『漫談!?漫談したかったら松竹行け!』って切られもうたんですよ。」

 

「そんで次にひとりで出来る言うたら、落語やったんです。」

 

「その落語やねんけど、落語にはまったく知識がなくて、正直知りませんでした。」

「まず落語とはどんなもんやと見に行かなと、繁昌亭も聞いたことはあるけど、どこにあるの知らんかった。」

 

数多い落語家さんの中で、何故桂きん枝師匠に弟子入りしたのですか?

「NGK(なんばグランド花月)は知ってたからそこの『吉本落語祭り』に行って、そこは吉本の落語家さん皆出てて、仁鶴師匠から三枝師匠から八方師匠から染丸師匠から皆出てて、それで落語を見たわけですよ。」

そしてウチの師匠(桂きん枝)が出はって、『看板の一』て話しを話たんやけど、それが解りやすくて、」

 

「サイコロをはみ出たして看板にして、博打というものは紙が大切やと若者に教える話。若者はおっさんがわざとはみ出してると笑ってたけど、それは計算やって開けてびっくり。若者は負けた。おっさんがこういう手があるけどやったらあかんねんぞ。でも若者は、看板出すなんて良い手や。と皆、真似して、最後は負けるという落語」

 

「古典落語をこんなに面白く話すおっさんやなぁ。」

 

「そんで桂きん枝師匠のとこに行ったんです。」

 

「でも知り合いもコネもないから、後日NGKの裏で待ったんですよ。」

 

「怖かったですよ。通報されるんちゃうかな。と、こんな怪しい男がうろうろしてるんですよ。」

 

「もし師匠が弟子とってくれへんかったら、あきらめて映画館で働こうかなと思たんです。」

 

「でもそんなん言うてられへん。自分でやらな先に進まないでしょ。」

 

「そんで師匠が出て来はって、こんなんいきなり声掛けたらビックリするやろな、と思って、ばーと走って行って

 

ちきん「師匠すみません!」

きん枝師『ええよ』

ちきん「ええぇぇえ!」

 

「こっちがビックリしてもうた、これギネス記録ですよ。 普通は何回も頼みに行くんですけど、僕の場合たった一回ですから。やっぱりプロの人やから見る人が見たら才能があるからとりはったんかな、と」

 

「後から師匠に訊いたら、どうやら【断ったら刺される】と思たらしいです(笑)」

 

いよいよ入門ですね。入門するとまずどんな事をするんですか?

「噺家になりたいんです、と話した後、『ええよ。ついといで』とそのまま繁昌亭まで行ったんです。その行きしなに色々と話したんです」

 

「『何をしてんねん?』『どうしたいねん?』『そしたら身の回り整理しといで』と言われ、3日で整理して師匠に電話したんです」

 

「『そしたら、明日NGKおいで』って言われて、NGKに行ったんです」

 

「緊張しましたわ。こうこうこういう者です、って入れてもうて、3階のロビーに師匠がいて、『おおう。ここで待っとけ』て言われて、待ってたんやけど。そりゃ緊張しますわ。どうしたらええか分かれへん。ソファの上で寝てるおっさんがおんねんけど、「誰やねん」ってパッと見たらオール阪神師匠やったんです。」

 

「ドキドキしましたよ。目の前にテレビの人があちこちにいるんですよ。桑原和男師匠は、かつら無しで女の人の服装してて、笑いそうになって。ドキドキして、未だによく覚えてますわ。」

 

「師匠から『舞台袖付いといで』と言われ、師匠の出番後に楽屋で着物の畳み方を教えてもらいました。」

 

「『明日、繁昌亭行け』と言われて、一人、繁昌亭に放り込まれたんです。」

 

「何してええか分からへん。そのとき御世話になったのが、咲之輔兄さん、生寿兄さん、さろめ姉さん等御兄さん方が、どうしたらええのか全部教えてくれて、今でもに兄さん達に感謝してます。」

 

「これが落語家の始まりです。」

 

7月の早見表

曜日 場所 開演
7  ワッハ上方 14:00
14  ワッハ上方
14:00
21 ワッハ上方 14:00
28  ワッハ上方 14:00
セル1 セル2

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